キシリトールを知ろう

戸田駅徒歩2分の歯医者「さわだ歯科クリニック戸田」院長の澤田尚也です。

 

皆さん、キシリトールって聞いたことありますよね?

ガムやタブレットの商品名としても使われていて、なんとなく歯によさそう、というイメージのキシリトール。

でもどんなもので、どんな効果があって、どうえらべばいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな方のために、キシリトールについて詳しく説明していきたいと思います。

 

キシリトールとは、糖アルコールの一種で、シラカバやカシの木からとれる、キシランヘミセルロースを原料に生成された天然甘味料です。

 

キシリトールは果物や野菜にも含まれており、いちごやカリフラワー、ほうれん草などが代表的です。

また、人の体の中にも存在していて、肝臓のグルクロン酸回路で1日に15ℊほど生成されています。

 

キシリトールの甘さの特徴は、清涼感のあるさわやかな甘さです。

砂糖と同じくらいの甘さがありますが、カロリーは砂糖の約3/4です。

 

キシリトールの安全性については、WHO(世界保健機関)が研究を主催するなど、さまざまな研究が行われ、安全である、という評価がされています。

アメリカ合衆国の食品衛生安全局では、キシリトールを1日の摂取量に制限を与えない食品として評価しています。

1997年には、厚生労働省から、食品添加物として認可もされています。

 

キシリトールは点滴に含まれる炭水化物として、10年以上使われてきました。

また、インスリンに影響を与えないため、糖尿病患者向けの医療品原料としても使用されています。

つまり、キシリトールは、体の中に直接入れる薬品としても、食品添加物としても、安全であることが証明されているわけです。

 

では、キシリトールにはどのような効果があるのでしょうか?

 

まず、第一に、キシリトールは虫歯の原因になりません!

虫歯ができる最初のステップは、歯が酸で溶かされていくこと。

キシリトールは、食べても酸が発生しません。

 

第二に、キシリトールは、唾液の分泌を促進します。

再石灰化を促進し虫歯になりづらい口内環境を整えてくれます。

 

第三に、キシリトールは、プラークが歯につくのを抑制します。

普段、細菌達の生活しているプラーク、そのプラークの量と付着性を減少させます。

 

第四に、ミュータンス菌の増殖を防ぎ、虫歯になりにくい細菌叢の形成を促します。

虫歯の一番の原因であるミュータンス菌を弱らせ、減らしてくれるチカラがあります。

このチカラの働きによって、虫歯をつくりやすい悪い菌が減り、虫歯をつくりにくい善い菌が増えます。

 

 

では、どのようなキシリトール製品を選べばいいのでしょうか?

例えば、ジュースにキシリトールが含まれていても、口の中に長くとどまることはできませんよね。

 

キシリトールの効果が期待できるお菓子としては、ガムやタブレットがおすすめです。

その中でも、

使われている甘味料の50%以上がキシリトールであること、

ショ糖(砂糖)が含まれていないこと、

酸生物(クエン酸や果汁)を含まないこと、

が必要です。

(それ自体が酸性である、クエン酸や果汁入り、柑橘類などの香料が多量に含まれる場合、その酸性度にもよりますが、脱灰の危険性がないとはいえないからです。)

 

次に、キシリトールの効果的な食べ方です。

 

キシリトールは、1日5ℊ以上食べると効果的です。

キシリトール100%のガムなら、4個程度です。

それを1日3回以上。

いっぺんに食べるのではなく、回数を多く食べましょう。

おすすめは、朝昼晩の毎食後と、おやつの後、寝る前の計5回の摂取です。

一回につき、少なくとも5分は噛み続けましょう。

 

キシリトールを食べると

2週間でプラークが減り始め、3ヵ月続けると虫歯のリスクが下がり、1~2年続けると、その効果が有効に持続するといわれています。

ポイントとしては、できれば、食後30分以内の歯みがき前に食べ始めます。

もちろん、再石灰化を促進し、歯の質を強くする働きや虫歯になりづらい口内環境を整える働きもあるので、歯磨き後でも効果はあります。

要は、回数やタイミングを気にしすぎず、食べたら噛む。というように、無理なくできる方法で習慣にするといいですね。

子供やお年寄り、矯正治療中などで、ガムが食べれない、という方にはタブレットもおすすめです。

 

ちなみに、キシリトール製品の注意書きにも書かれているように、一度に多量に食べると、おなかが緩くなってしまうことがあります。

 

これは、キシリトールやソルビトールのような糖アルコールは、小腸で消化、吸収がされにくいため、その吸収されなかった糖アルコールを、一生懸命消化しようと、腸管壁から水分が引き出され、大腸の中の水分が増加するために下痢をしやすくなるといわれています。

 

では、多量にって一体どれくらいでしょうか?

キシリトールの摂取量の1日の限度は、20ℊ~30ℊといわれており、これ以上摂るとお腹がゴロゴロして下痢になる場合があります。

キシリトール100%のガムでいうと、、、、15個くらい?

なので、ほとんどの人は、何も気にしなくて大丈夫です。

でも、2~3個でおなかが痛くなる、という人もいます。

下痢になっても一過性のものなので、それほど心配はないのですが牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまう方がいるのと同じで、これは体質の問題で、個人差があるので、どのくらいの量なら大丈夫という目安はありません。

お腹が弱いお子様や、高齢者の方、不安な方は、最初は1日一回から始めてみてはいかがでしょうか。

 

キシリトールがお口の健康に役立つことはお分かり頂けたでしょうか?

しかしながら、虫歯は、キシリトールを摂取するだけでは防ぐことはできません。

毎日のブラッシングをしっかりすること、

フッ化物の塗布、

規則正しい食生活を送ること、

そして歯科医院での定期的な検診とクリーニングをすること、

そのうえで、キシリトールを積極的に取り入れることで、より良い口内環境が獲得されるのです。